症状

ものが歪む

馬詰眼科スタッフ02
Q
加齢黄斑変性(かれい おうはんへんせい)

加齢黄斑変性は黄斑の加齢に伴う変化によっておこる病気で、高齢者の失明原因の一つです。
黄斑部に網膜の下の組織である脈絡膜から発生する新生血管が原因で起こる滲出型と、網膜の細胞が加齢により変性し老廃物が蓄積して栄養不足になり徐々に萎縮する萎縮型があります。

萎縮型は進行が緩徐で気付かない人もいます。しかし、時間とともに新生血管が発生し滲出型に移行する事もあります。新生血管はもろくて弱いため破れて出血したり
血液中の成分がもれ出して黄斑が腫れ、物が見えにくくなります。

治療

1.抗血管新生療法―当院で行えます
体の中には脈絡膜新生血管の成長を活発化させるVEGF(血管内皮増殖因子)という物質があります。抗血管新生療法はこのVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射する事により新生血管の増殖や成長を抑制する治療法です。

2.光線力学的療法(PDT)―当院では行えず大学病院などへ紹介しています。
光に反応する薬剤を体内に注入したあとに病変部にレーザーを照射する治療法です。
弱いレーザーで薬剤を活性化させ、網膜のダメージを抑えながら新生血管を
退縮させます。

Q
黄斑上膜(おうはんじょうまく)

黄斑部にオブラートのような薄い膜が張る病気です。硝子体が加齢とともに変化し
網膜面からはずれてきます。このとき黄斑部で薄い硝子体の膜が残りこれを土台として細胞の増殖が起こることで膜になるといわれています。

進行すると膜が黄斑を引っ張ることで、網膜に皺がよる、むくむなどして視力が
低下したりゆがんで見えたりするようになります。
進行しても失明する事はありません。

片方の目だけに起こっている場合は症状を自覚しない事もあります。
網膜のむくみの状態・視力・変視症の程度などから手術を決めます。症状がそれほど
強くなかったり自覚症状がなければ急いで手術をする必要はありません。手術は硝子体手術を行い、薄い膜を網膜から取り除きます。

Q
黄斑浮腫(おうはんふしゅ)

黄斑とは網膜の中心にあり、視機能における最も重要な場所です。
網膜静脈閉塞症・糖尿病網膜症・加齢黄斑変性・ぶどう膜炎などに併発して生じる所見で、視力低下や物の歪みが自覚症状として現れます。

原因疾患により治療法は異なりますが抗血管内皮増殖因子薬(抗VEGF)やステロイド薬を眼内に注射することが治療の中心となります。

眼内への注射のみでは効果が不十分な場合に網膜光凝固(レーザー)や硝子体手術を
併用することもあります。

Q
黄斑円孔(おうはんえんこう)

黄斑円孔は網膜の中心である黄斑に穴があいてしまった疾患です。
視機能の中心的な役割を担う黄斑に穴があくと「見たいところがかけて見える」や
「見たいところが歪んでみえる」といった自覚症状が出てきます。

これらの症状は硝子体が黄斑を牽引することで生じます。
まれに自然治癒することもありますが、多くは硝子体手術での治療を必要とします。
手術内容は硝子体を切除し、眼内を一時的に空気に置換します。90%以上は初回手術で円孔の閉鎖が確認されます。

手術後に1日から2日のうつ伏せ等の体位制限をお願いしております。
当院でも術後数時間は院内のリカバリー室でうつ伏せの状態を維持して頂き、ご自宅に戻ってからの体位についてもご説明しております。

Q
糖尿病網膜症(とうにょうびょう もうまくしょう)

糖尿病網膜症は糖尿病腎症・神経症とともに糖尿病の3大合併症のひとつで、我が国では緑内障に次いで成人の失明原因の第二位となっています。血糖が高い状態が長く続くと網膜の細い血管は少しずつ損傷を受け、変形したりつまったりします。血管がつまると網膜のすみずみまで酸素が行き渡らなくなり、網膜が酸欠状態に陥ります。
その結果として新しい血管(新生血管)を生やして酸素不足を補おうとします。

新生血管はもろいために容易に出血を起こします。また、網膜にかさぶたのような
膜(増殖組織)が張ってきて、これが原因で網膜剥離を起こすことがあります。

糖尿病網膜症は糖尿病になってから数年から10年以上経過して発症するといわれて
いますが、かなり進行するまで自覚症状がない場合もありまだ見えるから大丈夫という自己判断は危険です。糖尿病の人は目の症状がなくても定期的に眼科を受診し眼底検査を受けるようにしましょう。

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